九州大学 芸術工学部 工業設計学科 KYUSHU UNIVERSITY SCHOOL OF DESIGN DEPARTMENT OF INDUSTRIAL DESIGN

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卒業研究

工業設計学科では、すべての学生が4年生になると研究室に配属されて、1年かけて専門分野の研究を行います。1年生から3年生まで万遍なく学んできた、人間工学・知的機能工学・インダストリアルデザインの3つの分野を統合した知識や経験の上に自分の専門を深めた集大成が卒業研究です。ここでは、2020年度卒業学生の幅広い研究成果をご紹介します。

2020年度・卒業研究

  • メッセージングアプリケーションにおける感情を伝えるための表現方法の研究
    野村 竜成
    メッセージアプリ上でのやり取りでは相手の表情や声のトーンが分からないことで感情が伝わりづらく、トラブルになりやすい。そこで本研究では調査からメッセージアプリ上における有効な感情表現手段を抽出した。抽出された表現手段から実験計画法をもとにサンプルを作成し、サンプルにおけるアンケートの分析からメッセージアプリ上における感情を伝えるための有効な表現方法の考察を行った。
  • インターネット通販における服地の風合いの表現方法に関する研究
    石上 耕大
    ネット通販で服を購入する際、実物の生地に触ることができない。一方で服において生地の風合いは重要であるが、ネット通販では充分に伝わっていないと考えられる。そこで本研究では、「ネット通販の表現から感じる生地の風合い」と「実物の生地の風合い」の差(風合いのズレ)が小さくなる表現方法を明らかにした。
  • 楽器の音色を表現するプロダクトデザイン研究
    伊藤 智美
    本研究では、電子楽器の外観のデザインを、従来の楽器に沿ったものではなく、その楽器が持つ音色のイメージから造形することで新たな楽器の表現が可能になると考えデザインを行いました。クラシック音楽で使用する楽器の中から、「トランペット」「クラリネット」「ピアノ」「バイオリン」の4種類を選択し、それぞれの音色のイメージを表す要件を調査し、その要件をもとにアイデア展開を行いました。
  • デスクワーク時における前傾座面椅子の効果的使用法の提案
    藤原 ののか
    長時間の座位姿勢は、腰痛や肩こり、健康状態の悪化につながることが指摘されている。近年、昇降デスクの普及により多様な姿勢をとることが可能となっている。健康問題対策として、昇降デスクと前傾座面椅子を組み合わせ、股関節角度を120°に広げて座る姿勢が注目されている。本研究ではデスクワークにおける前傾座面椅子の効果的な使用法を検討し、前傾座面椅子の普及に役立てることを目的とした。
  • スイーツの楽しみ方のデザイン提案
    北島 壮智
    スイーツは我々にとって身近な存在であるが、映画などの虚構世界に登場するスイーツにもまた違った楽しみ方がある。本研究では「味覚・食感」「造形・見た目」「意味性」「ストーリー性」の4つの要素に着目して、抽象化させた空模様のイメージを見た目のデザイン、及び味覚と食感の要素に落とし込み、また、絵本の世界観を実態として存在するスイーツにトレースさせることで、多面的な楽しみ要素を引き出すスイーツを考案した。
  • 自動車における光学透過型ディスプレイ活用の提案
    斉藤 廉
    光学透過型ディスプレイとは背景が透けて見えるディスプレイのことです。本研究ではこの技術を自動車のフロントガラスに用い、それに死角やサイドミラーに映るものの情報を表示することで安全不確認による交通事故を防ぐことを目的としました。最適な表示位置を決定するために反応時間を計測する実験を行い、その結果をもとに情報の表示位置を決定しました。
  • 故人と向き合うためのプロダクト研究
    森山 真歩
    人と死別した「悲しみ」と向き合う社会文化の一つとしてお墓は存在する。しかし近年、「納骨堂」や「墓じまい」によりお墓の需要が減少しているのが現状である。そこで、葬式などの故人を偲ぶための伝統的な社会の仕組みに着目することによって、現代の生活との乖離による課題を抽出し、これからのライフスタイルに合った故人を偲ぶためのプロダクトを提案する。
  • アイヌ工芸品の保存と伝承のための製品デザイン提案
    宇山 明穂
    アイヌ工芸品の保存と伝承を目的に、アイヌ工芸品の技術を利用した現代生活用品2シリーズをデザインした。1つ目は小樽ガラスとアイヌ木彫を組み合わせた食器シリーズで、アイヌ民族が近隣の人と交易を行い、自らのものと組み合わせてきた考え方を活かした。2つ目は、アイヌ刺繍の衛生用品シリーズで、アイヌ文様がもつ魔除けの意味と刺繍を布の端に入れる文化を活かした。
  • ピクトグラム内における人の有無が観察時の脳活動に与える影響
    徳永 健太郎
    これまで、ピクトグラムの理解のしやすさは主観的に研究されてきたが、ミラーニューロンシステム(MNS)という脳機能に着目することよって客観的に検証できる可能性がある。本研究では、ピクトグラム内における行為を伴う人の存在がMNSの活動を高めるかを検証した。また、行為を促進するものと禁止するものでの脳活動の違い、与えられた状況に関連のあるものとそうでないものでの脳活動の違いも検討した。
  • 一人暮らしの学生のための入浴ツールの研究
    川窪 海聖
    湯船につかり入浴することには、眠りの質が向上したり、代謝が促進したり、また自律神経の調子が整ったりするなどの様々なメリットが存在する。しかし、一人暮らしの学生の多くはシャワーだけで入浴を済ませてしまう傾向にあり、十分に入浴の効果を得られていないと考えられる。そこで調査で得たシャワー入浴の課題を踏まえ、本研究では、一人暮らしの学生のシャワー入浴を改善するために足湯が可能なバスチェアの制作を行った。
  • 「動物のため」について考えさせるデザイン提案
    水田 雅也
    従来のゴキブリトラップに道徳的配慮を加えた「ゴキブリのためのゴキブリトラップ」を5つ提案する。動物にとっての幸せを、人間は正確に知ることができないにもかかわらず、人間が動物と関わる時、不確実な「動物のため」に基づいて行動している。そこで、私たち人間が動物のためにしていることは本当に動物のためなのかを問いかけ考えるきっかけを提供する。5つの提案のコンセプトは、最低限の痛みで死ぬ・楽しんで死ぬ・供養されて死ぬ・魅力を伝えて死ぬ・寿命で死ぬ、である。
  • 概念生成過程がメタ認知に及ぼす影響
    平沢 洸
    デザイン行為中のデザイン主体(自己)の変化に興味を持ち、先行研究を手がかりに概念生成過程がメタ認知に及ぼす影響を探った。概念生成ワーク中の概念生成過程・メタ認知推移・生成概念を対応づけ考察したところ、自らの視野や見方に限界があるという姿勢で臨む人は多様な概念生成手法を採用し、制約に気づき乗り越える契機が生じるためメタ認知を安定的に獲得しやすく、結果的に独創性の高い概念を生成しやすいことがわかった。
  • 音楽によるインテリアエレメントデザインの研究
    高木 敬太
    音楽によるインテリアエレメントの研究を行いました。ここでは、インテリアエレメントを文化の写像と捉え、音楽からモチーフを生成し、それをインテリアエレメントに展開することで硝子テーブルをデザインしました。
  • 光合成と生きる新たな人類像の表現
    山野 和磨
    本作品はスペキュラティブデザインの考え方を用いて人間が光合成を行う未来のフィクション表現を行った作品である。食料問題・共進化・人種差別という課題に対して「何故私たちはテクノロジーによる人と技術の共進化を恐れ、人や国の平等を大きく掲げるこの地球で多文化共生ができないのか」という問題の提起を作品を通して行なった。
  • まちの活性化に繋がるアートプロジェクトに関するデザイン研究
    田﨑 琴乃
    近年、地域活性化のためにアートプロジェクトを開催する地域が増加しているが利用低迷により廃止される活動も存在している。そこで本研究では福岡で一般市民が積極的にアートと関わりを持つきっかけとなる場を提案した。福岡で親しまれている屋台とアートを融合した「FUKUOKAARTSTAND」はワークショップ開催を通じて参加者の作品が壁に埋め込まれ美術館で展示される作品へと変形する仕組みとなっており、福岡独自のアート文化を創り出す。
  • 推奨姿勢に基づいたデスクワークにおける身体負担に関する研究
    太田 雄飛
    近年、座位姿勢でPCを使用する仕事が普及し、座位姿勢に関する健康問題が数多く生じている。その対策として、推奨されている姿勢(推奨姿勢)があるのだが、推奨姿勢をとっている人は少ない。このことから、習慣づいていない推奨姿勢をとる上で問題が生じているのではないかと考えた。そこで本研究では、習慣づいていない推奨姿勢でのデスクワークにおける身体負担を明らかにすることを目的とし、実験を行った。
  • 暑熱環境における体温調節行動と生理反応の関連性について
    白上 惠太
    行動性体温調節とは暑い時日影に移動する、エアコンをつける等ヒトが随意的に行うことのできる体温調節機能であり、今後温暖化による気温上昇や発汗等の自律性体温調節機能低下が予測され、行動性体温調節の重要性が増すことが考えられる。本研究では夏季に屋外で過ごす被験者の様子を観察、また同時に皮膚温や心拍間隔等の生理指標を測定することで体温調節行動および行動性体温調節と生理反応の関連性を評価した。
  • 「モノ」の扱いから考える廃棄行動のデザイン
    藤田 友貴
    本研究では、不法に廃棄されるモノと特別に廃棄をされるモノとを分ける消費者の価値観に着目した。そのうえで散乱ごみ防止のため、資源循環と衛生面に配慮しパブリックスペースにおいて持ち運ぶことに価値を感じるような廃棄のためのツールのデザインを行った。
  • ADHD患者のためのスマートフォン用スケジュール管理アプリの提案
    椎葉 直也
    ADHD(注意欠如・多動症)の患者の生活を補助する道具の作成を目的とし、本研究ではスマートフォン用アプリケーションを制作した。機能を決めるためにADHD患者の実践している工夫を調べ、まとめた。その中でも、分単位のスケジュールを見やすく確認できる、細分化したタスクを管理できる、タスクの量と間隔を調節できるという3つの機能に着目した。この調査の結果を基に、大学生向けのスケジュール管理アプリケーションを提案した。
  • メディアアートにおける観客の参加性に関する研究
    中川 頌
    メディアアート空間で、子供たちが走りまわったり寝転がったりしている姿を実際に見て、メディアアートにおける体験とメディアアートの表現技法に興味を持った。そこで、本研究では既存のメディアアートを分析することで、観客との豊かなインタラクションが生まれる要素を抽出し、インタラクティブなメディアアートを提案した。
  • 電子機器の望ましいインタラクションに関する研究
    濱田 哲史
    電子機器の流通量増加による人と電子機器の新たな関わり方を考える必要性が高まっているが、電子機器をデザインする際に用いる業界の基準となるような指標は見当たらず、電子機器が人へ提示する情報の内容という観点からの電子機器と人のインタラクションに関する研究は見当たらない。そこで本研究では、電子機器によるインタラクションの意図という新たな観点からのデザインを行う際に参考となる資料を作成した。
  • 社会問題と色の関係に関する研究
    亀井 凜太郎
    世の中には様々な社会問題があり、その認知・解決のために色彩を活用した数多くのアプローチが存在している。それらの事例を調査した結果、アウェアネスリボンが配色の参考になっていることが分かった。アウェアネスリボンとは社会問題や難病に対して、支援を表明するために身につける世界で統一した色のリボンのことである。そこで本研究ではアウェアネスリボンを活用し、色彩を用いて社会問題を訴えることのできる提案を行った。
  • 移動スーパーの類型化に関する研究
    齋藤 滉
    近年、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者を中心に食料品の購入に不便や苦労を感じる「食料品アクセス問題」が顕在化している。支援策の1つとして移動スーパーがあり、今後も需要は増えていくと想定される。本研究では既存の移動スーパー事業の特徴を類型化し特徴を整理し、今後の移動スーパーを運営する際の参考となる資料を得た。
  • 行動を誘発するプロダクトデザインの研究
    張 端壮
    本研究では行動経済学などの行動を促す研究を踏まえ、人の自発的な行動を誘発するデザインについて研究を行った。行動が誘発されるプロダクトには同じ行動を行う別のプロダクトのアイコンがデザインに取り入れられており、そのデザインの新規性と操作の分かりやすさが人に使ってみたいという欲求を生むと考えた。この考察をもとに人が自発的に手指消毒が行える自動手指消毒器「KAISATSU」を提案する。
  • 親子の防災コミュニケーションを促すためのデザイン研究
    三島 健志
    近年、頻発する災害に対して家庭防災の重要性が高まり、防災教育も家庭との連携を図っている。しかし、現状家庭で子供と防災について話し合えている家庭はとても少ない。家庭で防災についての会話が少ない原因を調査した結果、「保護者の防災意識の低さ」「親子双方に取ってのきっかけの欠如」「話す内容の具体性と効果の認知不足」が挙げられ、それを改善し、親子で話し合うことを促す防災セットのパッケージを考案した。
  • サッカー用シンガードの形状の提案
    阿部 圭吾
    シンガードとはサッカー選手が使う脛当てのことで、脛を守るために重要なものである。しかし、現状のシンガードには様々な問題がある。そこで本研究では、シンガードに関して意識する点や問題点を調査し、それらを改良することでサッカーのパフォーマンス向上につながるよりよいシンガードができると考えた。そして、調査結果と衝撃時に足にかかる力のシミュレーション結果を基に、中央部を浮かした形状のシンガードを提案した。
  • マイナースポーツチーム発展のためのデザイン研究
    ― ゴールデンウルヴズ福岡をケーススタディとして
    加治 幸樹
    現在マイナースポーツ選手は競技だけで生計を立てることは難しく、競技以外のもう一つの軸をもつことが主流となっている。今回着目したゴールデンウルヴズ福岡はアスリート×農業をコンセプトとして掲げるハンドボールチームである。本研究ではこのようなマイナースポーツ特有のチーム運営を調査し、より魅力的なチームへと発展させるための支援ツールを制作した。
  • 部屋がきれいに見えるプロダクトのデザイン研究
    大貫 紫温
    コロナへの対応として外出が制限され、今まで以上に負担に感じるようになった自宅での家事負担(片付けに着目)を軽減する目的として、調査・提案・製作を行なった。本作品は」、今まで決まった置き場所がなかった”保留の衣服”(着用したが次着用するまで洗わないで置く服、しまうのが面倒な服など)を片付けるラックであり、「掛ける」だけで統一感(重力を利用した衣服の流れ)が生まれる。
  • 平仮名グラフィティの提案
    小串 亮太郎
    近年、ヒップホップ文化が日本でサブカルチャーとして再び認められつつある。しかし、グラフィティにおいてはアルファベット作品と比較して日本語作品は数が少ない。そこで、日本人にグラフィティの文字としての良さを知るきっかけとして平仮名グラフィティを提案する。アルファベットグラフィティの要素と比較し、当てはまる部分とそうでない部分を検討した。最終的に平仮名のグラフィティをフォントという形で提案した。
  • 挫折しないためシャツづくりの手引き
    中島 丞斗
    メンズシャツの作り方が掲載されている書籍を購入し作り始めたところ、予想以上に難航した。その理由として、男性向けの洋裁本が少ないこと、説明されている作業工程をそのまま実行してもうまくいかないことにより、シャツ作りに当たってのモチベーションが保ちづらいことが挙げられる。そこで、さらに具体的な要因を探るにあたり、洋裁経験のない自身の行動や感情を観察、分析することで、初心者でも挫折しない洋裁本が作れるのではないかと考えた。
  • 性の社会的解放に着目した生理用品のデザイン
    大櫛 ひな子
    「性の社会的解放」の一環として生理を恥ずかしいとする意識を軽減する生理用品のデザインを行った。生理に関してオープンであることを当たり前にしていくというアプローチで、「化粧品を選ぶ様に買える生理用品」というコンセプトを設定し、2種類のサイズのアソートタイプの生理用ナプキンを提案した。スケルトンのパッケージや人目に付く場所で売ることにより生理用品を隠さない姿勢を示した。
  • 若者の日常的な運動不足を解消するデザイン研究
    福島 聡文
    近年、スマホや交通機関の発達により運動の機会が奪われている。本研究ではもっとも運動不足の割合が高い20代の若者を対象に運動を促すプロダクトを提案する。調査を進める中でわかった、運動に取り組むための要素をまとめていくと「拭き掃除」が理にかなった運動になることに辿り着いた。よって運動をより意識させず、手軽に拭き掃除に取り組めるような掃除アイテムのデザインを研究した。
  • 昆虫を未来の日常食にするためのデザイン研究
    寺崎 薫
    近い将来、食糧危機が訪れると言われ、近年昆虫食が注目されつつある。しかし、昆虫食はゲテモノや罰ゲームのイメージが強く、日本においては未だ一般的ではない。調査により、昆虫は抗酸化作用による美容効果があり、美容の表示で嫌悪感が減ることがわかった。そこで、昆虫を未来の日常食にするために、子どもの昆虫に対する嫌悪感に影響を与えるママ世代をターゲットに「→4th」という昆虫食の美容ブランドとその商品を提案した。
  • 琳派の造形手法の研究
    佐藤 悠大
    日本美の中でも琳派に着目し、画像観察と文献調査から「パターンの繰り返し」「題材の引き算」「金銀の使用」重なりの深度」「背景+モチーフ」「切り取られたディテール」「図の連続」「認知による完成」「素材の使い分け」の計9つを琳派の表現特徴として定義。そこから「景の設定」「内部造形の繋がり」「前後の奥行き」「抽象化」「面のつながり」「金銀を用いた色彩」の6つを琳派の造形手法を導出し、炊飯器を対象としてデザイン提案を行った。
  • 度島の活性化に向けた提案
    井上 康生
    農村・漁村の限界集落化が進む状況下で、農村・漁村出身で故郷を離れた若者は故郷のために何かをしたい気持ちはあるが、行動には移していないという現状であることが調査からわかった。そこで、長崎県平戸市度島町をモデルにして、故郷に貢献したい若者の背中を押すことができる事業の提案を行った。
  • ドローイング課題を用いた断眠時の創造性に関する研究
    桃井 誉門
    睡眠はヒトの生活に不可欠であるにも関わらず、多くの人が睡眠不足の状態である。睡眠不足が身体に及ぼす影響の中でも特に人類の発展に必要とされる創造的な活動との研究は重要だとされている。しかしながら、創造的な活動自体も未だ発展途上であるため、本実験では創造性に対する睡眠の影響を見るだけではなく、新たに創造性指標を導入し研究を行なった。その結果、睡眠不足によって創造性が変化しないことが示唆された。
  • 個人特性と創造性の関係についての検討
    福崎 采加
    過去の研究において、どのような特性を持つ人が優れた創造性を示すかについて様々な研究が行われてきた。創造性と関連のある個人特性はマインドワンダリング(進行中の課題から注意がそれ自発的思考を行う現象)やADHD傾向など多岐に渡るが、これらの個人特性を複合的に見た研究は少ない。そこで本研究は重回帰分析を用いて創造性と個人特性の関係について検討し、それぞれの個人特性が創造性に与える影響度を独立して調査した。
  • 内発的学習動機付けのためのAha!体験を利用した感動体験の提供
    墨田 知世
    内発的学習動機とは、「新しいことを知るのが嬉しいから」「楽しいから、おもしろいから」といった理由で学ぶ学習動機のことである。これを高めるために、学びに関連する「なるほど!」の感動を提供するという方法が考えられる。今回提案するアニメーションでは、小学校5年生社会科と6年生理科の内容を扱った。主人公のAha!体験を追体験させることで、内発的学習動機付けにつながる感動体験を提供することを目指した。
  • 初心者がバンド活動を続けるためのサービス提案
    田中 敦士
    新生活において楽器を始める人は多くみられるが、その初心者のほとんどは1年以内に楽器を辞めてしまうということが明らかになった。また、楽器はやめていなくても、バンド活動ができない状況にある人もいる。上記を背景として、本研究ではバンド活動を継続させるための課題を明らかにし、その解決策のデザイン指針を導出することを目的とした。
  • 同調の誤選択時後悔への影響
    ― 意思決定のデザイン
    羽田野 世惟
    人は選択を行う際、少なからず他者の選択に影響される。本研究では、意思決定に際しての他者への同調や非同調が、誤選択時後悔にどのような影響を及ぼすのかを比較対照実験により明らかにすることを試みた。その結果、同調時の誤選択は非同調時の誤選択よりも後悔が有意に大きいことが示された。本研究で得られた知見は様々な場面における意思決定のデザインに応用しうる。
  • 課外活動でのグループワークを支援するためのツールのデザイン研究
    蒋 ガイ文
    本研究は、クリエイティブな学びを行う大学の一つである九州大学芸術工学部をケーススタディーとし、大学における課外グループワークの要素を分析し、そのコミュニケーションを促進させるためのツールを提案しました。
  • 客観的指標による「響きあい」捕捉の試み
    東海林 慶祐
    複数人間でのデザインプロセスにおいて、各人の「心に響く時間」(創造的心理状態)が共鳴する「響きあい」は重要であるが、それがどのような現象であるか解明されていない。本研究ではペアワーク実験を行い「響きあい」現象を表情筋筋電図などの客観的指標により捉えることを試みた。その結果、「響きあい」発現時に眼輪筋の活動が一段と活発化するなど、複数の指標で双方創造的心理状態と「響きあい」との間の差異を捕捉した。
  • 実践に基づく女性イラストを用いたステッカーの魅力の分析
    古賀 遼太郎
    女性をモチーフにしたイラストの作り手と受け手(鑑賞者)での評価の違いが起こることは多々ある。本研究では、女性イラストを受け手にとって魅力的に感じさせる要素とは何なのかを調べ、その結果を活かし、著者自身がイラストの魅力をコントロールできるようにすることが目的である。女性イラストをもちいたステッカーを販売することで、その売上枚数の差とイラストに含まれる様々な要素を比較検討し、受け手にとって作品を魅力的にしている要素とは何なのかを調べる。
  • 「総合的な学習の時間」の 探究ツールのデザイン研究
    三笘 源
    本研究では、コミュニケーションデザインの視点から、探究型学習の新たな探究ツールのデザイン提案をした。能古島小中学校を対象に探究型学習の課題を調査した結果、「学生が自ら問いを立てることができる」、「探究型学習のリテラシーが身につく」、「地域の特性を取り入れる」が新たなツールに必要な要件であることを導いた。これらの要件をもとに、学生が大臣になり島の未来の政策アイデアを描く「みらいのこ内閣」を提案した。
  • 新型コロナウイルスの流行に伴う社会環境の変容に対する適応度調査
    仲間 大哲
    新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、我々の生活にこれまでにない変化をもたらした。個人の特性の違いによって、コロナ禍の特殊な社会環境に対する適応度(心身の健康への影響)に違いがある可能性が考えられる。本研究では、BigFiveパーソナリティ特性と主観的健康感の指標を含むWebアンケートを行い、コロナ流行下の生活状況における主観的健康感の変化と生活習慣および性格特性の関連を検討した。
  • 遺伝的アルゴリズムを用いた設計サービスの提案
    谷口 正海
    ものづくりの難易度を遺伝的アルゴリズムによる設計プロセスによって下げることで取り組みやすくし、要所でそれらを意識させるシートを用意することで「目的にあった設計を考える力」、「自分のアイデアを実際に形にする力」、「状態、記録、結果を観察し推論の材料とする力」、「結果からフィードバックを得て次に繋げる力」を養うことが出来るミニ四駆を用いたものづくり教材としてのサービス提案。