九州大学 芸術工学部 工業設計学科 KYUSHU UNIVERSITY SCHOOL OF DESIGN DEPARTMENT OF INDUSTRIAL DESIGN

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卒業研究

工業設計学科では、すべての学生が4年生になると研究室に配属されて、1年かけて専門分野の研究を行います。1年生から3年生まで万遍なく学んできた、人間工学・知的機能工学・インダストリアルデザインの3つの分野を統合した知識や経験の上に自分の専門を深めた集大成が卒業研究です。ここでは、2016年度卒業学生の幅広い研究成果をご紹介します。

2016年度・卒業研究

  • オフィス環境での短時間仮眠を目的としたリブーティングルームの提案
    青柳 圭祐
    日本の就業者のほとんどが1日の理想的な睡眠時間を下回っていおり、多くの日本人は慢性的な眠気を感じている。睡眠不足は様々な障害に繋がるリスクを含んでおり、その経済損失は3兆円を超える。現状の睡眠課題に対し、短時間で効率的な睡眠をとることの出来る「パワーナップ」をオフィス環境で行うことの出来る空間の提案を行った。
  • 心的回転課題の成績と2D:4D比の関係
    植田 遥平
    空間認知能力は女性より男性が得意な能力である。この性差の要因はいくつかあげられるが、まだ明らかになっていない。そこで、胎児期のテストステロンが幼児期に男性的な行動を促し、空間認知能力が養われるという仮説から、胎児期のテストステロン濃度を反映する2D:4D比という指標と空間認知能力の関係性を明らかにし、この要因を追究した。
  • 曲面ディスプレイは表情のカテゴリー知覚にどのような影響を及ぼすか
    江田 裕貴
    本研究は、今後の普及が予想される曲面ディスプレイが認知活動に及ぼす影響について表情のカテゴリー知覚を用いて調べたものである。表情のカテゴリー知覚を用いることで、カテゴリー判別のずれやそれぞれのカテゴリーの強さの違いを知ることが出来る。表情カテゴリー判別課題を用いて平面ディスプレイ条件と円柱ディスプレイ条件を対照した結果、両条件間にカテゴリー知覚の有意な差は見られなかった。
  • 新しい体験を与える運動遊具の提案
    大久保 爽一郎
    社会学者ロジェ・カイヨワの「遊びと人間」を先行研究として調査し、アゴーンとイリンクスという遊びの分類に従来の運動遊具を分類した。調査から「重心・バランスを取るのが難しいこと」「自分にしか乗りこなせない新しい動きであること」という要件を抽出し、乗りこなす楽しさを与える運動遊具というコンセプトで実際に制作を行った。
  • 南阿蘇地域を担う公共交通の研究
    小野寺 俊介
    現在、地域鉄道を取り巻く環境が厳しさを増していることから、地域住民のための公共交通といった視点から鉄道を見直し、運行ルートの検討やまちづくりとの連携なども含めた、公共交通システムとしてのデザイン研究を行った。研究フィールドを熊本県の南阿蘇地域に設定し、地域住民と観光客の利用を想定した公共交通網と、線路と道路の両方を走行できるDMVというモビリティからなる、「なんてつDMV」という公共交通システムを提案した。
  • ロボットの顔の印象に関する研究
    河内 厚志
    サービスロボットの結果価値に対して期待価値が肥大化してしまいやすいという課題の解決のため、顔の印象に注目したロボットの顔のデザイン方法を提案。ロボットのサービスの分析から必要な印象を抽出し、抽出された印象を先行研究調査やアンケート調査から確認できた要素を用いて表現してデザインにつなげた。本研究ではソフトバンクロボティクス株式会社のペッパーを対象として顔のデザインを行った。
  • 小児喘息の子どもが楽しく治療に臨むためのネブライザーのデザイン研究
    河野 円香
    病院で泣き叫ぶ子供たちをよく見かけますが、入院・検査など様々な要因により治療嫌いの子供が増加しているという現状があります。本研究では、数多くある医療機器の中でも、近年小児喘息患者数の増加により子供たちに身近な存在になりつつあるネブライザーに着目し、家庭でのプレパレーションを助け、子供自らが治療の準備・片付けに参加することで積極的に吸入治療に取り組めるようなネブライザーを提案しました。
  • 新素材を用いた有機的照明の提案
    川端 貴徳
    近年様々な新素材が照明に応用され、感性的で美しい表現ができるようになった。しかし、多くの室内の光環境はまだまだ画一的な光で照らす、無機的で効率主義的な形をとっているのが現状である。そこで本研究では移ろう美しい自然光に着目し、調査を行い感性的表現のための気づきを得た。そしてその気づきのもと新素材を用いた照明を提案した。
  • 小学校における食物アレルギー対応に関する情報共有ツールの研究
    川人 萌
    小学校での食物アレルギー対応では家庭・学校・医師の円滑なコミュニケーションが重要となるが、現在とられている方法では十分な連携を図ることができずに子どもの誤食・誤飲に繋がりかねない。本研究では、小学校における食物アレルギー対応に関する保護者と教員間の情報交換の課題を調査し、得られた要件をもとに情報共有ツールとして原材料名カードと生活ノートを作成した。
  • 寒冷環境における局所加温が精神作業成績及び生理応答に及ぼす影響
    神田 拓摩
    寒冷環境において作業成績が低下することが明らかにされている。また寒冷の影響は身体を部分的に暖める局所加温により緩和されることも同様に示されている。本研究では局所加温を行う部位ごとに影響を比較検討する。
  • 大学生の生活改善のためのサービスコンセプトの提案
    古家 嵩大
    大学生は、不規則な生活になることが多く、生活習慣は乱れていきます。そこで本研究では、大学生の生活を改善するための新たなサービスの利活用方法を提案することを目的とし、大学生の生活の実態を把握すると共に、既存のデバイスやサービスの調査を行いました。既存のサービス間のリンク機能を充実させることで、スマートフォン以外のデバイスを必要とせず、手軽に大学生に利用してもらうサービスを提案しました。
  • 日中のオフィス照明環境が執務時の覚醒と快適性に及ぼす影響
    小濵 昌雄
    近年、タスクアンビアントライト(物体の対象を照らすタスクライトと、作業中の周辺を照らすアンビアントライトを併用して利用する方式)の普及が進んでいる。よって、その環境に適切な照明条件が求められる。しかし、まだ、その調査例は少ないという現状にある。今回は、実際のオフィスを調査し、覚醒水準や主観的測定項目から評価することで、タスクアンビアントライトにおける適切な照明条件を見出すことを目的とした。
  • 唐津の考え方を反映したプロダクトの提案
    繁田 星羅
    佐賀県唐津市は九州の北西部に位置し、古来より唐(から:韓、唐)など大陸との玄関口(津、港)として栄えてきました。唐津に興味を持ち訪れるきっかけとなるような唐津と自然に関わってもらうプロダクトを提案することを目的としました。調査を踏まえ、唐津には共食でもてなす文化があること、唐津焼は使い手に自由が残されている器であることを配慮して唐津のもてなしの文化を感じてもらう食器セットを提案しました。
  • 切り花を日常に取り入れるためのデザイン提案
    島 実里
    切り花の活躍する場面は主に冠婚葬祭や記念日などのプレゼントであり、普段の生活で花と関わる機会が少ないことに気づきました。そこで花に好感を持っているが買わない人にとって、もっと気軽に花を楽しめる提案を行うことを目的としました。調査を踏まえ、花屋や生産者、華道教室などが連携し、花屋を中心とした情報発信を行います。その中のひとつの具体例として、花を飾るきっかけとなる花屋に置くキットを作りました。
  • 新しいキャッチャー防具のデザイン研究
    高橋 憲太郎
    今野球界では名捕手が生まれないという問題を抱えている。捕手は重要なポジションであるのに、「暑い」「臭い」「汚い」「痛い」といった強いマイナスなイメージのため不人気のポジションになっている。捕手の抱える課題の調査から、多様な課題を解決できるキャッチャー防具をデザインした。
  • RSSIを利用した屋内位置推定のための統計的数理モデルの提案
    武尾 信之介
    位置推定技術としてはグローバル・ポジショニング・システム(GPS:GlobalPositionigSystem)が普及しているが、その電波信号は屋内や地下施設には到達しないため、これをそういった環境内での位置情報取得のために適用することは難しい。そのため屋内に設置した無線センサを用いる様々な位置推定方法が研究、提案されているが、屋外におけるGPSのように決定的なものは未だ確立されていない。そこで本研究では統計的なアプローチによって、屋内位置推定のための数理モデルを提案することを目標とする。
  • 大学生の睡眠習慣は日中のパフォーマンスや概日リズムと関連しているのか
    武岡 功汰
    日本の大学生の睡眠習慣は、不規則化や夜型化が進んでいると言われているが、それについて調査した研究のほとんどが質問紙による調査研究であり、実際の睡眠習慣を追跡調査した研究は少ない。したがって本研究では、日本の大学生の睡眠習慣を追跡調査し、その特徴を調べる。さらに、それが日中のパフォーマンスや概日リズムの位相(DLMO)とどのように関連しているかも調べる。
  • プロダクトにおけるゲインロス効果の創出
    竹澤 晃平
    本研究では、対人心理学の知見である「好意のゲインロス効果」がプロダクトにおいても成り立つと仮定し、第一印象と”第二印象”の間にギャップをつくりだすことで新たな魅力が生まれるかどうかを検証する。そして近代の考え方とは異なった“根拠をもって見た目をいつわる”という手法によって、単なる道具ではなく、どこか人間に近い親しみを感じさせるプロダクトを生み出すためのデザインの方法論を提案する。
  • 靴着用時における歩行中の足甲接触圧分布について
    武末 慎
    現代社会において日常生活の様々な場面で靴を履いて過ごしています。しかし、足にフィットした靴を使用していないと足の障害の原因となります。実際、靴を履いて歩いているときに足と靴が接触していたという経験があると思います。そこで本研究では、靴着用時における歩行中の足甲接触圧の測定を行い、この足甲接触圧の経時変化とその特徴を明らかにすることを目的としました。
  • 音楽のジャンルとジャケットのデザインの関係に関する研究
    尋木 風都
    今日、私達は多様なジャンルの音楽を楽しんでいます。また、音楽のデータ化が普及しつつも、ジャケットデザインは重要な要素の1つとして認識されています。そこで、本研究では、音楽のジャンルやジャケットデザインについて様々な傾向を把握し、その結果、ある特定のジャンルは、ジャンルとジャケットデザインともに明確なイメージを持たれており、ジャンルの相互関係からも特別なジャンルとして位置付けられると考えられました。
  • 漫才とデザインの比較検討・考察
    田中 和佳子
    漫才とは、ツッコミとボケの二人がしゃべり合い客を笑わせる話芸です。そんな漫才と、大学で学んできたデザインには、どちらにも「発想」という過程があります。同じ過程を有する二つには、他にも共通点があるのではないかと考えました。その二つの共通点を明らかにし、その結果の視覚化の手段として「かるた」の形式を用いました。このかるたで、遊びながら二つの共通点とその内容を知ることができます。
  • オキシトシン受容体遺伝子多型(rs53576)による性格特性の違い
    辻 春奈
    オキシトシン受容体遺伝子多型(rs53576)は共感特性の個人差に関連するという報告がある。本研究は性格特性の違いを日本人において明らかにすることを目的とし、多次元共感測定尺度等を用いて測定した。その結果、個人的苦悩においてGAタイプがAAタイプに比べ有意に高い得点を示した。このことからrs53576は日本人においても共感特性の個人差に影響を及ぼすが、共感特性のどの側面に影響を及ぼすかには地域差が存在する可能性が示唆された。
  • デザイン表現のための素材制作の研究
    鶴 真由子
    新しい素材表現として、異なる素材の組み合わせに着目し、石こう、クレヨン、ろうそくという素材を用いて表現の制作を行った。石こうとクレヨンを組み合わせることで生まれた表現と、石こうとろうそくを組み合わせて加熱することで生まれた透ける石こう素材を、重ね合わせることで、反射光によるクレヨンの表現と、透過光によるろうそくの表現という2種類の表情を持つ素材を制作・提案した。
  • 運動前の身体冷却が暑熱下運動時の生理反応及び精神作業課成績に及ぼす影響
    鶴薗 祥太
    暑熱環境下での運動時の過度な体温上昇は身体負担を増大させ、熱中症を引き起こす。その一つの予防策としてプレクーリングというものがあり、運動前に身体を冷却させ、体温上昇を抑制させる効果があると報告されている。しかし、夏季の冷房の効いた室内から屋外へ出るなど実環境に近い気温差に関する研究は少なく、運動直前と運動時の気温差によって身体の生理反応にどのような影響を与えるのか検証する必要があると考えられる。また、スポーツや除染作業の現場においては状況判断能力が重要となり、これに関与している認知機能についても、プレクーリングによってどのような影響を受けるのか検討する。
  • 垂直面での使用に適したボードマーカーの提案
    徳永 拓海
    板書作業は情報の共有に欠かせない作業であり,主に垂直な面への筆記となる.垂直面における筆記は水平面における筆記と動作が大きく異なるが,垂直面における筆記の特性を考慮した製品は少ない.そこで,本研究では垂直面における筆記を検討した上で、使用者の意図通りの線を描画できるボードマーカーの寸法を検討した.
  • 事象関連電位と背景脳波による空間の至適占有幅に関する研究
    中島 孝明
    大規模な災害が発生すると避難所での生活を強いられる。アンケート調査によると多くの者が空間の広さに不満を感じており、これはヒトの認知活動に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では注意と覚醒度の指標となる事象関連電位と背景脳波とに着目し、空間の横幅と注意、覚醒度との関連を明らかにすることを目的とした。
  • 小学校高学年を対象としたデザイン思考の教育に関する研究
    中村 優花
    デザインはますます重要になってきているにも関わらず、学校では<意図や目的>といったデザインを学ぶことはできない。義務教育が始まる小学校に焦点を当て、身の回りにある既にデザインされたものを学ぶことで新たな独創性の種を育むことを目的とし、小学校の課外授業で行うことができるようなワークショップの提案をするために調査を進めた。
  • 幼児のひらがな教育に役立つデジタルコンテンツに関する研究
    那須野 航平
    日本のひらがな教育は小学校から始まり、幼稚園で行うことは求められていません.一方で、幼稚園に通っている頃から、ひらがなの読み書きを幼児に学ばせている家庭が多数あるとの報告があります。これは、小学校入学時点でのひらがなの読み書きの能力の差が、小学校就学後の学力の差につながることを心配しているからだと考えられます。そこで本研究では、ひらがな教育をより効果的なものにすることを目的としました。そのために、幼児にひらがなに対する興味喚起を促すとともに、ひらがな学習に必要な力の向上の助けとなるデジタルコンテンツの提案をおこないました。
  • 夜勤時の色温度照度可変のLED照明が概日リズム位相と眠気と疲労感に及ぼす影響
    野口 杏奈
    24時間型社会となった近年では、夜勤は必要不可欠である。しかし夜勤には、勤務者の概日リズム位相の後退や覚醒度の低下、疲労感などの問題点がある。LED照明の普及によって仕事場の調光が容易になり、光による夜勤の問題への対策が行えるようになった。主観的眠気や疲労感、概日リズムの指標であるDLMOを測定することにより、模擬夜勤時の色温度と照度の調光が、概日リズム位相と眠気と疲労感に及ぼす影響を検証した。
  • アイドルを応援するためのプロダクトの提案
    橋本 幸治
    現在のアイドルライブではファン自体もライブを作り上げる要素の一つとなっている。ファンはファッション、アクション、グッズ、声援等でアイドルからの認知を図ろうと各々で努力をしている。その中でも販売されているグッズはアイドルごとに個性が出やすく、身に付けるファンとしても個性を出しやすい。そこで、アイドルからの認知を高めるライブグッズを提案した。
  • 在宅勤務を行う親と幼児のためのデザイン提案
    速水 幸寛
    近い将来、在宅勤務と育児を両立させるという選択肢は制度上では普及すると予想される。しかし、実際に取り組むには様々な障害があり、解決のためにはモノの力が必要だと考えた。幼児を見守りやすくするため、設置型玩具としても、その機能を失った場合でも家具として機能するプロダクトを提案することで居場所を固定することを目的とし、ビニルチューブを備えた幼児用ローテーブルを最終案とした。
  • 対象の移動方向にロバストな歩容特徴量の抽出に関する統計的研究
    原 晋之介
    近年,防犯カメラの整備・普及により,事件などが発生した際の犯人の追尾方法として,映像上の人間の歩き方から個人を認証する「歩容認証」が注目を集めている.歩容認証は,犯罪捜査や防犯の目的だけではなく,商業施設での施設誘導・買い物支援,など,広く活用することのできる技術である.本研究では,あらゆる方向から認証を行うことを可能にする方位変換モデルの構築,対象の歩行状態の抽出法を提案することを目的とする.
  • 地方内交通を充実させる新しいモビリティの提案
    福岡 雅道
    超高齢社会となった時、地方都市において高齢者を中心とした交通弱者が増加すると考えられています。本研究では、将来地方都市で人々が手軽に移動できるための公共交通における新しいモビリティのデザイン提案を行うことを目的としました。調査を踏まえ、停留所と自宅等の生活拠点との距離が近い利便性のよい新たなルート及び自動運転方式により乗客全員が着席できる「人に優しい地域密着型」の超小型バスを提案しました。
  • デジタル表現の分析による表現方法の研究
    福田 佑輝
    デジタルにおける表現の分析を進めていく中で、中間を補完する表現から生まれる形状に可能性を感じた。これをきっかけとして人間の動作の中間から新たな形状を作り出す方法を考えた。結果、動作の軌跡からサーフェスを形成し、サーフェスを円弧に沿って押し出して出来たソリッドをスケッチによって検討するという一連の流れを中間からスタイリングを行う方法として提案することとなった。
  • 雨天時の行動に注目した出入り口空間の分析
    藤田 萌花
    雨天時には様々なストレス要因が存在します。また我々の生活空間は晴天時を基準に設計されているため雨天時にはその都度一時的な対応を行っていますが、それらは晴天時には機能していないばかりか、通行の妨げになることもあります。そういった一時的対応がよくみられるのが出入り口空間であり、今研究では出入り口空間でのユーザーの行動を晴雨で比較分析することによりパターン化、設計要件に落とし込みました。得られた設計要件を出入り口空間設計の際の指針として提案することでユーザーが無意識かつスムーズに利用できる出入り口空間の実現を目指します。
  • 自動車の“かたち”生成プロセスの解剖
    古里 健悟
    スケッチによるスタイリング検討はデザイナー個々の内なる表現行為であり、その“かたち”生成プロセスは「ブラックボックス」となっている。しかし実際のスタイリング検討は協働で行うことも多い。そこで自身の自動車デザインを例に、そのプロセスを解剖することによるプロセスの見える化を通して、協働において「ブラックボックス」をさらけ出すことの有為性を検証した。
  • 照明の色が皮膚温度感受性に与える影響
    堀切 竜
    現代社会において様々な面で省エネルギー思考が強まってきています。しかし、空調設備に関しては未だ決定的な対策が見つかっていません。一方で、人は、青色を中心とした短波長色に涼しい感覚を受け、赤色を中心とした長波長色に暖かい感覚を受け、3℃ほど体感温度に差があると言われています。本研究では、このような照明の色が生理指標である皮膚温度感受性に影響を与えるのかを検証しました。
  • 視覚障がい者の「思い出」の想起を補助するためのデザイン提案
    丸山 史孝
    アルバムの写真や動画を見返し、過去の思い出をなつかしむ。視覚的な情報を知覚できない視覚障がい者はそのような思い出を想起する機会が少ない。そこで、本研究では視覚障がい者の「思い出の想起」をより充実させるプロダクトの創出を目的とした。最終提案として、「モノ」に「思い出」を音として録音できる、ウェアラブルに持ち運ぶプロダクトを提案した。感触を伴って記録した思い出にアクセスすることが出来る。
  • 超高齢社会にむけたニュースポーツの提案
    森永 大地
    超高齢社会における高齢者さんの「健康づくり」や「地域力」問題に対して、70代の方々を対象とした『クロースリフト』というニュースポーツを提案しました。木製のリングに向かってゴルフのようにボールを入れる簡単なスポーツです。屋内外のどこでもプレイすることができ、足腰にイイ「立ち上がる」動作でタオルを持ち上げてボールを転がします。仲間といっしょに、あなたも楽しく健康的なセカンドライフをはじめてみませんか?
  • LED照明の調光方式によるメラトニン分泌への影響
    矢野 雅人
    近年、夜間照明による健康への悪影響が問題となっています。その原因としてメラトニンと呼ばれるホルモンの分泌が、夜間の光によって抑制されるためであると指摘されています。そのため、メラトニンを抑制しにくい夜間照明が求められています。そこで本研究では、パルス光を用いるPWM方式の調光と定常光でのメラトニン分泌への影響を検討しました。
  • 電車通勤時の乗り降りをスムーズにするデザイン研究
    山崎 真弘
    通勤電車のストレスが、近年社会問題となっており、その原因は主に混雑によるものであるとされている。そこで私は、電車通勤時の乗り降りをスムーズするデザイン研究を行うことで、混雑緩和に結びつく要件をまとめることを目的とし、本研究を行った。その結果、荷物置き下スペースの横長のディスプレイと、ドア前スペースのリング状ディスプレイから成る、「Surround_Support_Display」を提案した。
  • アクティブラーニング空間におけるホワイトボードの研究
    龍 菲
    ORITAMIBOARDはロール型のホワイトボードです。空間内に置いているホワイトボードの軽量化と携帯性を増やすため、ボードの代わりにホワイトボードシートを使い、全体的に軽量化をしました。また折りたためるフレームを作り、ロールをフレームの横につけました。ホワイトボードシートがフレームの動きと共に連動することによって、使いたい時にフレームを引けば使えます。フレームを閉めばどもでも持ち運べるようなものになりました。
  • 消費者をエシカル消費へと導くデザイン
    ― 福岡市東区 POPCOFFEES のパッケージリデザインを通して
    原 二葉沙
    公正な貿易を通して零細な途上国の生産者を支える仕組みであるフェアトレード。日本における認知度は49%と未だ低く、欧米や他先進国に比べ遅れをとっている。本研究ではフェアトレード情報デザインフレームワークを構築し、ケーススタディとしてオーガニック珈琲専門店POPCOFFEESのフェアトレードコーヒーパッケージリデザインを提案した。コンセプトは信頼・共感・愛着とし、フレームワークを用いた情報デザインを試みた。
  • 発達障害児の療養観察記録を用いた記入者の記述特性の評価
    上田 悟史
    発達障害児の療養観察記録を用いた記入者の記述特性の評価です。
  • 大学進学における高校生の主体性を生む情報提供の提案
    大山 英輝
    高校生の大学選択において重要なのは、コミュニケーションです。大学について誰かと話すことで、その後のオープンキャンパスなどに参加するといった、主体的な行動につながります。そこで、大学案内でコミュニケーションを生む媒体をつくれないかと考え、飛び出す絵本で大学紹介を行うプロジェクトを立ち上げました。飛び出す絵本はモノとしての魅力が強く会話のタネになります。今回はこの飛び出す絵本のシリーズのうち2つを実際に作成しました。
  • 料理の適量を見つけるためのデザイン提案
    吉田 早織
    レシピで「適量」、「少々」など曖昧な表現が多数存在するが、一体どのくらいのさじ加減で味を整えていけばいいのだろうと少なからず疑問に思ったことがあるだろう。「適量」とは本来“ほどよい分量”という意味である。しかし、個人や家庭によって味の好みも違うので個々に異なるものである。料理を通して家族との関わりや今後の人生を豊かにしていくために、感覚的な適量を把握することができるようなデザイン提案を行うことを目的とする。曖昧な表現を可視化して実際に五感で体験することで感覚的に把握できる展示会を提案する。
  • 照明と湿度の条件が作業効率及び温熱的快適感におよぼす影響
    新島 さとみ
    空調設備は現在の人類の生活に不可欠であり、快適な室内環境やオフィス環境に関する研究がこれまで行われてきました。近年、身体の温度変化を客観的に測る指標として温熱的快適性に注目が集まっています。本研究では温冷覚閾値に着目し、冷房の効いた部屋での作業効率および温熱的快適性を測定し、最も過ごしやすい照明の色温度と相対湿度の条件を検討しました。