九州大学 芸術工学部 工業設計学科 KYUSHU UNIVERSITY SCHOOL OF DESIGN DEPARTMENT OF INDUSTRIAL DESIGN

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卒業研究

工業設計学科では、すべての学生が4年生になると研究室に配属されて、1年かけて専門分野の研究を行います。1年生から3年生まで万遍なく学んできた、人間工学・知的機能工学・インダストリアルデザインの3つの分野を統合した知識や経験の上に自分の専門を深めた集大成が卒業研究です。ここでは、2012年度卒業学生の幅広い研究成果をご紹介します。

2012年度・卒業研究

  • インクルーシブデザインにおける気づきデータベースシステムの構築
    岩本 卓也
    インクルーシブデザインにおけるワークショップでは、参加者が大量の付箋紙に意見(気づき)を書き込んでいきます。その気づきを基にデザイナーが提案を行うのですが、アナログ媒体のままでは整理しづらいという問題があります。そこで、これら付箋紙に書かれたものをデジタル化して、よりブレインストーミングしやすいシステムを検討しました。
  • 農産物直売所における野菜販売用什器の提案
    押川 蓮斗
    農産物直売所では、「農家が農産物直売所へ野菜を運搬するための容器」と「農産物直売所で販売時に使用されている容器」では違う物が使用されています。そのため、野菜の移し替え作業を行わなければならず、容器が余分に必要となります。そのような問題を解決するために、農産物直売所において野菜の運搬から販売までを一貫して使用できる什器を提案しました。
  • 和洋の文化比較に基づくディスポーザブル食器のデザイン
    小原 和晃
    日本とヨーロッパの製品の比較研究に基づきデザインしたディスポーザブル食器セットです。調査・分類から見えてきた「持ち方」「空間」「心」という3つのキーワードに対し、和洋の要素を整理しデザインしました。
  • ガールズバンドのプロデュース手法の研究 -an*answer をケースとして
    角 奈々美
    バンド活動を始めたいけれど、始めるきっかけを掴めない女の子のためのガールズバンドのプロデュース手法についての研究を行い、「an*answer」というガールズバンドを結成してその手法を検証しました。結果は、女子大生らしさや親しみやすさを押し出すことが有効であることが明らかとなりました。提案した手法は、今後バンド活動を始める人たちにとってのセルフプロデュース手法としても用いることのできるものとなっています。
  • 院内感染予防の観点からの点滴スタンドのデザイン
    迫 健太郎
    医療施設用の点滴スタンドを制作しました。自身の入院経験や、医療従事者へのヒアリングから明らかになった、「院内感染予防」という課題のもと、汚れやすい点滴スタンドの、足下部分を清掃しやすくしたカタチや、転倒・接触しても安全なフックの仕組みを考えました。スケッチ・CG・スタイロモデルでのアイデア展開を経て、MDFでモックアップを制作し、医療機器担当の医師と共にデザインを検証しています。
  • 震災避難時における飲料水の確保に関するデザイン提案
    瀧口 真一
    自治体と在宅避難者への実態調査から、震災時の飲料水の確保は備蓄をすることが最良の方法だと分かる一方、備蓄をしていない方が多くいました。その原因は賞味期限と量の多さだと考え、これを解決する方法として本研究では上水道の仕組みに着目し、普段は水道管の一部として機能するが、非常時だけ水道管から水を得ることで、常に新鮮な水が循環していて賞味期限を気にすることのないウォーターサーバーを提案しました。
  • 持続可能な地下鉄駅の提案 -福岡市営地下鉄博多駅新駅をケーススタディとして
    田中 晃平
    「福岡に根付き親しまれる駅」という大方針のもと、環境にやさしく、利用者にとって魅力的な地下鉄駅を提案しました。自然光採光や明るすぎない照明計画により環境への負荷を低減し、県産間伐材の利用や組子細工の取り入れによって、福岡らしさを演出し魅力ある空間としました。天井からおりるダクトは、伝送された自然光を内部で反射し、駅空間をやわらかく照らすとともに、美しい組子模様を映し出します。
  • 高速海上輸送における水面効果翼船のデザイン研究
    中井 孝信
    海上輸送の更なる高速化を実現するため、水面効果翼船のデザイン研究に取り組んだ。水面効果翼船とは高速時に機体全体を水面上で飛行する船である。水による抵抗を極限まで減らすことができるため、他の船舶に比べ抵抗が少なく、将来の高速海上輸送に適した輸送機関である。本研究では美しさと機能の両立を目指し、CFDによるシミュレーション等も駆使しながらデザイン研究を行った。
  • 天神地下街におけるwayfindingシステムの提案
    長門石 みほ
    天神地下街での迷いを解決するための提案です。天神地区のそばを南から北に流れる那珂川に注目し、天神地下街を歩く際にも川の流れを感じることで方向感覚を意識づけます。南の12番街では川の始まりを表す滴を、北の1番街では川の終わりを表す海をモチーフにした水の演出を設置し南北を意識付けます。街路には見る方向によって違う映像が見える液晶を用い歩いている方向を意識づけます。
  • 行為に基づく玄関のデザイン研究
    林 裕四郎
    玄関における行為について調査し、玄関のデザインを行いました。プライベートとパブリックの境界である玄関では靴を履く、鍵を保管するなど様々な行為が行われます。それらの行為により適した環境となるように、人の姿勢・物の佇まい・コミュニケーションに注目し、玄関空間から考えたスツール・キーボックス・ドアの設計を行いました。
  • アミューズメント施設の未来像提案
    広川 楽馬
    ゲームセンターは現在まで市場の縮小が続いています。ゲームセンターの再興をテーマに次世代のゲームセンターの未来像を提案します。「ゲームセンター内でユーザー層の棲み分けが行なわれている事」と、「シニア層への対応」にこれからのゲームセンターの課題が有ると考え、ライト層が奥のゲームと出会わないという現在発生している機会損失を防ぐ為の『案内ディスプレイ』と『ゲームの無料体験コーナー』シニア対応の為の『ヘルスケアゲーム』の有る未来像を提案しました。
  • 種々の心理特性値と起床時のコルチゾール濃度および反応との関係
    柗本 吏子
    ヒトはストレスを過剰に受け続けると狭心症やうつ・不安障害といった病を患う。そういった病を予防するためのストレスの客観的評価の指標として、起床時のコルチゾールの反応が注目されている。この起床時の反応はその人のストレス状態、心理特性値、生活習慣等から影響を受けて変化すると考えられているため。本実験では、特に心理特性値との関係を検討した。
  • 食事作法の観点から見た家族との共食における箸置きのデザイン
    三浦 仁志
    家族のための箸置きです。子供が食事作法を学ぶ場であった家族との食事の時間は、近年さまざまな要因により減少しています。本提案は1つに収納できる箸置きを食前に家族みんなで開ける、取り出す、渡す、という行為のサイクルの習慣化により、「いただきます」を一緒にするためのものです。大きなものから順に、父、母、長男、次男、というように自分専用の箸置きをサイズで見分けることができます。
  • 休耕及び耕作放棄された水田の維持管理のためのデザイン研究
    森 恭平
    現在、休耕や耕作放棄によって日本の水田が荒廃している。放置された水田には雑草が繁茂し、病気が発生したり、害虫のすみかとなるなどして近隣農家を苦しめる。また、水田は米の生産だけではなく水源の涵養や良好な景観の形成、多様な生態系の構築など多くの役割を担っている。本研究では、そうした水田の機能を保持したまま維持管理していくためのしくみを提案するために、必要となる三つのプロダクトである、畦板と水門、フェロモントラップを設計した。
  • 小学校の避難のためのデザイン
    -生徒とともに考える手すりに着目した階段空間のデザイン
    西田 直人
    小学校における避難をテーマとして、手すりに着目した階段空間のデザイン提案を行いました。子ども達とのワークショップを通して「手すり」、「色と光」、「避難について普段から意識する」という3つの設計要件を出し、これら3つの設計要件を基に小学校の新しい階段空間を考えました。
  • 位相最適化の数理とその応用
    福山 潤一
    本研究は、力学的観点からデザインに繋げていこうとする試みである。そのための力学的手法に最適化設計法に着眼し、有限要素法と呼ばれる手法をもとに、骨組構造を最適化するグランドストラクチャー法、2次元構造を最適化する均質化設計法の数理を紹介している。また、これら2つの方法の応用として、自転車のフレームの最適化を試みている。
  • 模擬的夜勤時の仮眠がメラトニン分泌に及ぼす影響
    西 剛史
    交替制勤務はガンのリスクを高める危険があることが報告されている。その原因の1つに夜間の光よるメラトニン分泌の抑制が関与している可能性があり、本研究はその対策として仮眠に注目した。12時間の夜勤を想定し(模擬夜勤)、3時から5時の間に暗い部屋で仮眠を取ると、メラトニンの分泌が大きく回復することが分かった。仮眠の効果をより引き出す為に、今後更なる検討が必要である。
  • 風呂敷の要素を用いた運搬道具の提案
    板野 雄太
    私は本研究において、風呂敷をテーマに、包む運搬道具の研究•提案をおこないました。戦後急激な西洋化の中で次第に姿を消していった包みもの。本来のフレキシビリティを引き継ぎながら、現代生活シーンにおける使用を想定し、新たな運搬道具の設計をおこないました。
  • 寝室における異なる照明光源が主観と睡眠時体温に及ぼす影響
    牧添 正貴
    近年、法改正や震災の影響によってLED照明などの省電力・長寿命の特徴をもつ照明光源の普及が進んでいます。一方で夜間に光を浴びることは、睡眠障害や鬱病の非視覚的影響の原因となることが知られています。私の行った研究では、有機EL照明・LED照明・蛍光灯のヒトに与える非視覚的影響を比較検討しました。
  • バカを利用した発想法と製品の提案
    藤田 絃生
    人間は自分が知りたくないことについて自主的、無意識的に情報を遮断している。「理解した」と思い込むことで、それ以上の理解を行おうとしない「バカの壁」をつくってしまう。発想という場において、この壁は大きな障害となる。本研究では、理解した状態で今まで無意識的に遮断していた情報を発想に取り入れることで自らの壁を知り、既存の壁を壊すことのできる新しい着眼を得る発想法を提案する。
  • モバイルカフェの提案
    鍬崎 七実
    「moca.」はモバイルカフェです。強化ダンボール、木材、布といった自然の素材のみでできており、折り畳み式のテーブルとイスにコーヒーセットを収納することで自分専用のカフェ空間を持ち運んでいつでもどこでも「カフェする」ことができます。
  • 「距離ゼロの背後と一秒先の、想像」の制作
    橋本 幸
    「 不快なものはなぜ排除されるのか、なぜ視覚的に美しいものだけを見ようとするのかを他者へ問いかけ、の感覚を共有したいために作品を描くようになった。本研究では、作品を制作・展示し他者と共有し、トークイベントを通じ語り合うことで、見方の違いや、新たな発見をすることが目的である。作品を自ら理解し解釈を広げるためには、言語化する重要性を認識した。 今後は、色を加え、身近にある家具や人など立体に描いていく手法を取り入れていくことを、新たな課題としている。」
  • 皮膚温度感受性の日内変動
    山下 穂南美
    人の皮膚の温度感覚は、冷暖房の調節や飲食、衣服など私たちの体温調節のための行動に直接的な影響を持っています。この皮膚の温度感覚が一日の中でどのように変化するのかについて研究しました。早朝・昼・夕方・夜の4回にわたって、皮膚に当てたセンサーを徐々に加温・冷却することで暖かさ・冷たさを自覚したときの温度を測定しました。
  • 美的判断時の事象関連電位
    坂井 航
    ERPを測定し、ヒトの美的判断時の脳活動を検討した。人が普遍的に、生得的に美しいと感じる自然風景を美的刺激とし、美醜の判断を行う際の脳活動を検討した結果、美的刺激への判断時にも言語的な処理プロセスを経る可能性や、知覚的な刺激に対しては早い段階で判断を行っている可能性等が示唆された。
  • 位相的データ解析とその応用
    中村 あずみ
    どの分野でも「高次元」かつ「多様」な「大量」のデータが蓄積されその解析は非常に難しくなってきている。このような背景のもとに、データの大まかな形状を把握し定性的情報を抽出する位相幾何学的データ解析の技術が研究されてきている。本研究では、位相的データ解析技術の中でも特にモース・スメール複体に基づく分割理論に焦点を当て、その統計的意義を検証する。
  • 寝室におけるマダケの照明器具の提案
    古庄 悠泰
    面と面を繋ぐ関節部分が自由に動き、自立型・壁掛け型・壁寄せ型に変形できるランプシェード。三つのかたちを基本形とし、ユーザーの必要に応じて様々な光をつくる事が可能である。また、非使用時にはランプシェードを壁に掛けておけば生活空間を保てるだけでなく、真竹の凛とした美しさを楽しむ事もできる。
  • 屋台に着目した移動飲食店の提案
    劉 志龍
    福岡の観光資源として存在している屋台は155軒である。屋台の宿命である移動、組立て、収納、夜間営業の四点の「つらさ」の克服が難しくなり、営業者の高齢化などの原因で年間10~20軒ほどが廃業し、今後消えることも予想される。それゆえどうすれば屋台が住民に理解され、福岡のまちと共生できるかということを考え、今後の望ましい移動式屋台のあり方や必要な取組みについて調査を行って、移動飲食店とも言える移動式屋台を提案した。
  • SNS 利用ギャルのための対面コミュニケーションを促進するデザイン提案
    北 恭子
    ギャルが求めるのは「類友とのシンクロ感」であり彼女達には自撮りをする習慣がありました。そこで「syncオフ盛り」という「デジタルで自撮りを楽しむ中で次の遊びの話題が広がり、思い出を気軽にアナログに残せるシステム提案」を行いました。具体的には携帯がニコイチカメラになったり「類友としたい100のこと」が見られたりプリ帳風アルバムが作れたりします。このシステムであなたも類友とsync(シンク)オフ盛り!
  • 都市部における駐車スペースを考慮した若者向け自動車の研究
    石丸 竜平
    技術革新が進み、自動車の形態が少しずつ変化していく中で、これからの都市部での自動車利用の在り方も変わっていくはずである。建物の密集した都市部において、駐車場の必要性を削減することができれば、道路渋滞の緩和や、都市で生活する上での経費の軽減にもつながる。自動車の全長が伸縮することにより、駐車時の専有面積を小さくするこの提案により、都市部における自動車利用を円滑に行う第一歩となるだろう。
  • 押しボタンの設計要素と指の接触力特性が押しやすさに及ぼす影響
    木村 美晴
    押ボタンの操作感触の評価に関する研究です。先行研究では、機械や主観評価によって操作感触が評価されていますが、ボタンに触れる指自身に注目した研究はありません。また、押しボタンの操作感触は、ボタンを押し込んだ時の反発力を指先で感じることで得られると言われています。そこで、この研究では、ボタンを押している時の接触力を測定する指センサーを用いて評価を行いました。
  • 靴のケア定着を促進するレディース靴の店舗デザイン提案
    原 久惠
    コンセプトは、「お気に入りをつなごう。」 靴を買う、洋服を買う、コーディネートを考える、インテリアをつくる、靴を修理する、といった、様々なファッションに関する「お気に入りをつくる行為」をつなぐ靴のお店を提案します。提案内容は大きく5点で、すべてがリンクすることで最終的には靴のケア定着を図ります。この提案を通して、ものを大切に使うこと、きちんと使い切ること、について考えて頂けたら幸いです。
  • 共感の個人差が社会的刺激に対する脳活動に及ぼす影響
    木崎 みのり
    社会的刺激に対する脳活動は共感特性によって異なること、また事象関連電位のP300は注意の程度を反映することが報告されている。本研究では共感の個人差が社会的刺激に対するP300に及ぼす影響を調べた。社会的刺激に対して共感特性の高い人は大きいP300を示し、非社会的刺激に対しては共感特性の個人差によるP300に有意な差は無かった。従って共感特性が高い人ほど社会的刺激に注意を払い、より活発な脳活動を示す可能性が示唆された。
  • LEDの調光方式がメラトニン分泌に及ぼす影響
    永野 和希
    近年普及しているLEDには明るさを調整する複数の調光方式があります。しかし、調光方式が異なる事による人体への影響に違いがあるのか明らかとなっていません。夜間に光を浴びるとメラトニンというホルモンの分泌が抑制されます。このメラトニンの濃度等の生理指標を測定し、LEDの調光方式によってメラトニン分泌抑制にどのような違いが出るのか検討しました。
  • スマートフォン操作が階段昇降時の歩容に及ぼす影響
    村上 彰
    スマートフォンの普及が進んでおり、その機能は生活を豊かにするものであるが問題点もある。GUI(graphical user interface)を搭載した端末は視覚的な要求が大きい。また、その携帯性の高さから利用する場所を選ばず、公共施設の階段での利用者も見られる。画面注視を要するスマートフォンを、足元への注意を要する階段で利用するという条件下で用いた場合、歩容にどのような影響を及ぼすかを検討することで、転倒の要因を探ることを目的とする。
  • 玩具の新しい可能性と利用方法の提案
    岩崎 充
    家庭内における玩具のあり方について調査し、新しい玩具のデザインを行いました。玩具は家族や友人をつなげるための重要なコミュニケーションツールです。そのコミュニケーションツールとしての役割をより一層高めるように、遊び方や形状、対象年齢との関係性からより遊びの自由度が高い玩具の設計を行いました。
  • “祝日”を特別な日にするツールの提案
    竹内 文絵
    現代、国民の祝日の多くは単なる休日として過ごされています。そこで、現代に会った祝日の祝日らしい過ごし方を促すプロダクトを提案しました。みどりの日、海の日、文化の日の3日を対象とし、それぞれの本来の意味を感じられるような行為から、芝生で寝転ぶための寝袋、海で拾ったものを閉じ込めて飾るキャンドルのキット、折形の要素を取り入れた贈り物用のブックカバーを制作しました。
  • 習慣から考えるスマートフォンのデザイン提案
    森冨 秀宜
    日常の生活において、意識せずライターの蓋の開閉を繰り返したり、飲み物のストローを噛んだりといった「思わず遊んでいる行為」が多くあります。これらの行為を調査・分析を行い、スマートフォンの造形・言葉・行為を考えました。造形の幅の少ないスマートフォンに対し、「思わず遊んでいる行為」を造形の要素とすることで新しいスタイリングを生みます。