工業設計学科のまいにち
知的機能工学を軸としたデザイナーになりたい
見上 誠
2012年度入学
Q.芸術工学部工業設計学科を受験しようと決めた時期はいつごろですか?
高校3年生の夏頃です。元々何かを開発するといったことを下請けではなくデザインする段階からやりたいと考え、それらを学ぶことが出来る大学はどこかを選んだ結果、工業設計学科に決定しました。
Q.3年前の入学時と現在では、自分の気持ちや大学生活に対する期待、将来の希望、興味関心のあることなどに変化はありましたか?
入学当時はどうしても具体性のない曖昧な将来図しかなく、何を学ぶべきなのかがはっきりしませんでした。
その思いが吹っ切れたのはつい最近の事です。三年生では今まで学んできたことを応用する機会が多く、自分にとって何が本当に面白く何が自分の強みなのかを再確認することが出来ました。ひとつひとつの分野を勉強する段階では見えないことも多く、はっきりとしない将来図に不安を感じる方もいるかもしれませんがどれもデザインを学ぶ上で重要なものばかりでした。
入学したはいいものの不安になってしまった場合は先輩やOBの方に相談してみてください。きっと私と同じように満足できる答えを得ることが出来ると思います。
Q.芸術工学部工業設計学科の魅力を一言でいうと何だと思いますか?
「経験」だと私は思います。様々な考えの学生や教師の方々と出会うことによって得られる人生経験こそがこの学科の最大の魅力だと考えています。
特に臨時講師なども含めると日常ではなかなか出会うことのない本当に多種多様な境遇の方々と語り合う事もできます。
それらの方々や同じくデザインに関わる学友と共に「デザインとはなにか」ということを真剣に語らうことは人生の大きな糧となるでしょう。
Q.3年間の大学生活をふりかえって満足度はどのくらい?
5段階ならば満足度は4です。この評価は大学に関する不満というよりも自分の勉強不足に対するものですね。留学生との交流のためにも英語は早めに勉強すべきだったと少し後悔してます。
Q.具体的に今までどのようなことを学んできましたか?
デザインに関係する調査法や展開手法、スケッチの向上は当然のこと力学を中心とする物理学から色彩学や知覚心理まで本当に様々なことを学びました。
これらを学んだ中で私自身としては流体力学をこれから専門にしていこうと考えています。私達と常に隣り合う気体液体を学ぶことは必ずや社会貢献に繋がると確信しています。
Q.大学(工業設計学科)に入学して得たものは何でしょうか?
学問は当然として人との繋がりやそれに付随するデザインに対する思考を知ることが何よりも価値のあるものだと思います。この学科に関わる人達が持つそれぞれの考えや思考はとても得難く、自分の中に明確な答えがない人でも学科での生活の中で歩むべき道を見つけることが出来ると思います。
Q.これまでの授業の中で最も楽しかった授業は?
工業設計学科では3DCGによる設計も多数行っています。中でも3年生後期のメカトロニクス演習では自分の欲しいスマートホンケースをクレイ(粘土)モデルからCGまでつくり上げる一連の流れを全て行いました。
やはり1から全て行うのは作業量も多く困惑する場面も多々ありましたが、実際に3Dプリンタで出力された自分のモデルを見た時、純粋に頑張ってよかったと感じました。
Q.今一生懸命頑張っていることは何かありますか?
留学予定の学友からの影響もあって、研究室に入って専門に進む前に英語の学習に力を入れています。学問と関係ないものとしては趣味として小説をほそぼそと続けていますね。小説を書くのは自分を理解する上でも役に立っています。大学を卒業する前に形にしてみたいものです。
Q.これから卒業までの1年間の大学生活に期待することは何でしょうか?
研究室で流体を学び、そこから理論に基づいた社会に役立つデザインをしていきたいと思います。
Q.将来の夢は何でしょうか?
電子機器を中心としたインダストリアルデザイナーです。デザイナー志望の人は工業設計学科の3部門の内インダストリアルデザインに進むのがこの学科でも通説ですが、けしてインダストリアルデザインしかデザイナーの道がないわけではなりません。私はインダストリアルデザインや人間工学で学んだことに踏まえ、更に知的機能工学を軸としてデザイナーの世界に踏み入れてみたいと考えています。
Q.芸術工学部工業設計学科の受験を検討している高校生のみなさんへ一言!
今このページを見ている人の中には既にデザイナーやそれに何らかの形で関わろうと決めている人とぼんやりと自分の学力にあった学部を探している人がいると思います。
入学したはいいものの、将来を見据えて頑張る人と曖昧なままに飛び込んだ人の間にはどうしても差が生じてしまうものです。
頑張る人からしてみれば曖昧な人は不真面目で邪魔、曖昧な人からすれば頑張る人は生きる世界が違う、なんてふうに考えてしまうかもしれません。
ですがそれは互いに大きな間違いを犯しています。この学科が何故全て面接や実技を介さず筆記だけで入学できるのか。
それは様々な思考・境遇を持つ多様性ある環境を作りたいがためではないかと私は思います。
頑張る人も曖昧な人もどちらも重要な存在なのです。提供者側の視点だけではいけません。もちろん、社会に貢献していく者としての自覚とそれに見合った行動も大事です。
自分と違う考えとの間の確執に葛藤してください。より優れた意見に刺激され、新しい自分の道を模索してください。
この学科に入学することがゴールではありません。
大事なことはこの中で何を成していくかです。
是非工業設計学科に入学し、大いに語り合い、時に口論にまで発展し、お互いを理解し合い、自分だけの道を見つけてください。