九州大学 芸術工学部 工業設計学科 KYUSHU UNIVERSITY SCHOOL OF DESIGN DEPARTMENT OF INDUSTRIAL DESIGN

入試情報はこちら

 工業設計学科のFacebookアカウント  工業設計学科のTwitterアカウント

九州大学芸術工学部のホームページへ

九州大学のホームページへ

新着情報

【JID AWARD 2020 NEXTAGE部門賞】工業設計学科4年 平沢洸さんと加治幸樹くんが受賞

公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会主催のJID AWARD 2020において工業設計学科4年 平沢洸さんと加治幸樹くんが受賞しました。

JID AWARDはデザイナーや企業等の優れた活動成果を表彰して日本のインテリアデザインの質的向上をはかり、くらしにおけるインテリアの重要性、デザインの力を社会に発信することを目的として開催され、本賞は、提案や試作、学生作品を対象に授与されるものです。


■平沢 洸 
作品名:なる
コンセプト:音が「なる」椅子
 私は大学に入学し、一人暮らしを始めてから、「寂しい」という感情をより強く抱く日が増えました。「なぜ寂しいと感じるのか」と疑問に思い、自分の生活を観察して気づいたのは、家族の声がなく、音がないということです。何をしても「音がない」ということが「家族がいない」ということをとても強く意識させるのです。
 椅子を観察していくと、音がしないように設計されていることがほとんどだということに気が付きました。しかし『「座る」、「揺れる」、「立ち上がる」、「持ち上げる」…動作の一つ一つに対する返事のような音となって返ってくる』そんなまるで家族の一員のような椅子があってもいいのではないだろうか、という思いから、作品コンセプトを『音が「なる」椅子』と決めました。一人ぼっちで、誰かからの返事がなく、音のならない静かな部屋に住む寂しさを感じている人は多いと思います。そんな人の寂しさを少しでも解消でき、そして、一人暮らしから、家族が増えるまで、そして家族が増えてからもずっと愛着を持って使ってもらえるような椅子を目指したいという思いもこの作品コンセプトに込めました。
 作品コンセプトを実現するため、椅子全体が共鳴体となる構造かつ、ずっと愛着の持てる丸い形状にしました。また、音が「なる」という現象を観察し続け、「あたたかな自然の音」には(1)ランダムに音がなる、(2)柔らかい響きという2つの条件があることにたどり着きました。
 座面をゴムにし、そこから複数の組み玉をゴム紐でつるすことで、わずかな動きでも座面が上下し、組み玉が椅子の中で自由に動き、底面や側面に当たることで音がなる構造にしました。この構造に加え、適度に重く表面は「木」である組み玉の特性によって、椅子に座る、椅子の上で体を揺らすという動作に対してランダムで柔らかい響きの音が「なる」ことを、実現しました。
 また、愛着を持ち続けてもらうために本体の素材として「木」を、座面の素材には、ずっと座っていたくなる、包み込むようなあたたかな座り心地を実現するためにも「ゴム」を選択しました。



■加治 幸樹
作品名:KUSEMONO
コンセプト:この作品のコンセプトは「様々なものを置いて、物質が作り出す光の乱反射の様子を愉しむ照明」です。一輪挿しなど自分が置いてみたいものを置いた瞬間にゆらゆらと揺れる光の様子を愉しむことができます。このコンセプトに至った経緯ですが、家でミカンを食べていた時にふとスマートフォンのライトの上にそのミカンを置いてみました。興味本位で部屋の明かりを消してみると、ミカンの皮の表面にある油胞と呼ばれる1ミリほどの香りの元となるオイルが溜まったプツプツが綺麗に光っていました。そこからグラスを置いたり、ペットボトルを置いたりなどものの光り方に夢中になりました。この時初めてこのような体験ができる照明を作りたいと思いました。
作品を制作するにあたって、人がものを置きたくなるようなデザインを模索しました。形はなぜかやりたくなる顔はめパネルから着想を得て、置き場に一つの空間ができるような形に、そして土台は安定感を感じられるように重量感を持たせました。素材には杉材を用いています。外形には曲木加工を施し、2.5mmの薄さの杉材を4枚重ねてボンドで互いに接着し、治具にあて1週間乾燥させ作成しました。この方法に至るまでに熱による曲木の温度の実験や木の水分量の調節、熱を加えることによる杉の色の変化など様々な試行錯誤を繰り返しました。結果として熱を加えるやり方は木を重ねる必要が無いため断面が綺麗になりますが、材木の色の調整、水分量による形の変化の調整が難しく断念しました。外形の一番上の部分はあえて交差させています。交差しないパターンも作り、何かまとまりすぎていて面白みを感じなかった為、ズレを作り交差させることにしました。

※これらの作品は工業設計学科の授業「計画設計プロジェクト演習」で制作されたものです。
※これらの作品は九州林産株式会社より林業や木材の特性に関する専門的なアドバイスをいただき、ご提供いただいた杉材を用いて制作されました。

関連情報