「技術の人間化」を旗印として、昭和43(1968)年に開学された九州芸術工科大学は平成15年に九州大学と統合し、九州大学大学院芸術工学研究院となりました。本学の人間工学教室は日本で初めて開設された人間工学教室(講座)です。
本教室の目的は、人間の資質を考えた上で、人間−もの−環境系の真に望ましい関係を科学的に追求し、安全で快適な製品・生活環境を創造するための高度な教育、研究を行うことです。
今日、心の豊かさ、個性の尊重、人間・環境への優しさといった生活者のニーズが高まり、これに応えるべく産官学によるソフトサイエンスをはじめとした様々なプロジェクトが進められているのはご承知の通りです。
私ども人間工学教室が長年目指してきた研究が、今やっと、社会から求められるようになったと感慨深い思いであります。
50年間、人をはかり続けてきた本教室の研究は、多くの貴重なデータを蓄積し、論文として国内外の学術誌に公表されています。
このような研究は、同時に優秀な人材も育てることとなり、現在多くの卒業生が企業や国公立の機関で活躍しているところです。
なお、本教室は芸術工学部インダストリアルデザインコース人間工学分野の教育も担当しています。
1968年(昭和43年) 九州芸術工科大学開学。人間工学講座設置
2003年4月(平成15年) 文部科学省21世紀COEプログラムに採択
2003年10月(平成15年) 九州大学大学院芸術工学研究院人間生活システム部門に所属
2008年4月(平成20年) 芸術工学府芸術工学専攻デザイン人間科学コース生理人類学講座を担当
2009年4月(平成21年) 統合新領域学府 ユーザー感性学専攻を担当
2009年7月(平成21年) 芸術工学研究院デザイン人間科学部門に所属
2022年4月(令和4年) 芸術工学研究院人間生活デザイン部門に所属
令和5年6月現在、教員8名(教授3名、講師1名、助教4名)
本教室は多くの大型研究プロジェクトの中心的役割を果たしています。また産学連携にも積極的に取り組み、特に国内大手の自動車、電子・電気機器、住宅・設備、アパレル、福祉機器関係の企業等との共同研究が盛んです。
人間工学教室を卒業・修了した学生はこれまで約500名以上います。このうち約40名が大学、国公立研究機関で研究・教育に従事しています。また、トヨタ、日産、ホンダ、マツダなどの自動車製造業のほか、パナソニック、日立、東芝、NEC、NTT、コクヨ、グンゼ、TOTO、NHKなど様々な企業・業種で人間工学を実践しています。